鳥のきもち:第2章 人と心地よく暮らすには「飼い主さんとの出会いを求めて」

私たちは10年、20年いやもっと長生きするかもしれません。種類によっては人間と同じくらいの寿命があります。飼い主さんと別れるのはとても辛いのです。お家に連れて帰る前に、そのことを思い出してください。(鳥の飼い主への十戒より)
 
 飼い主さんとの出逢いが多いのは、ペットショップです。
 あなたはまだ自分でごはんを食べられない幼いときに、優しい親鳥から引き離され、同じくらいのヒナ鳥と一緒に水槽のようなところに同居させられました。

 彼らは友人ではないし、あなたを助けたりはしてくれません。
 あなたと同じように、これから飼い主さんを探すライバルなのです。
 
 ひとりぼっちになった不安で、鳴き続けてはいけません。
 育ち盛りでお腹が空くために、手当たり次第アピールしてはいけません。
 ライバルのヒナより早く、飼い主さんに選ばれたいきもちは抑えましょう。
 ライバルのヒナが強くアピールしても気にしないようにしましょう。
 たしかに強く鳴き続けたりすると、人の目を引くので気に留めてくれる人がいるかもしれません。
 でも、あせりは禁物です。飼い主さん選びを間違えるとあとで後悔しますよ。

 こんな話を聞いたことがあります。
 猛烈なアピールのおかげで、一羽のヒナ鳥がある人のお家にもらわれました。
しかし、翌日そのヒナ鳥がペットショップに戻ってきたのです。
 理由を聞いてみると、お家に連れて帰ったら、家族から大反対されてしまったそうです。
 実はその家族の中に「鳥アレルギー」の人がいらっしゃいました。
 また、これはもらわれてからすぐではなく、しばらくたってからですが、やはりペットショップに戻ってきました。
 それは、その飼い主さんが住んでいるアパートは、ペットの飼育禁止で鳥がいることが見つかったそうです。
 飼い主さんはやむなく購入したペットショップに戻しました。
 これら2つの事例のヒナ鳥には共通点があります。
 それは飼い主さんを衝動買いされるほどの猛烈なアピールがあったことです。

 一羽の鳥を迎えること……これはその鳥の一生を最後までお世話し続けるという相当な覚悟が必要です。
 そのときのヒナ鳥の魅力に心を奪われて、今置かれている環境や一緒に住んでいる家族のことをないがしろにすると、結果的にはその鳥を手放すことにつながるかもしれません。

 鳥が好きな人にとって、かわいいヒナ鳥がいっぱいいるペットショップは楽しいところです。と同時に誘惑に負けそうになる危険なゾーンです。
 私たちをお迎えするときには、特にご家族の人とじっくり話し合われてくださいね。

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