私たち鳥と人との関係で、いちばんのベストポジションは肩か手ですね。その中で肩に乗るのが一番落ち着くのではないでしょうか。
人の肩はとても魅力的な場所です。まず安定していて止まりやすいです。耳には光り物のアクセサリーが「遊んでください」と言わんばかりに誘惑しています。それになによりも大好きな飼い主さんの顔のそばに近寄れます。
しかし肩には魅力以上の危険な問題があります。顔が近いため、つい衝動的にかみついてしまうことがあります。特に目は眼球が動くために、衝動に駆られます。
もう少し肩にいたいのに、飼い主さんが私たちを肩が降ろそうと手を出したら、かんで拒否しました。私たち鳥が飼い主さんの肩に止まるのは、簡単そうに見えてもまだまだ難しい面があります。飼い主さんとの厚い信頼関係が築いたころにチャレンジしてみましょう。
ここでは手に止まることをお話しましょう。「手に止まる」なんて止まり木に止まることを考えれば楽勝だと思うでしょう!?実はあなたにとっては楽勝でも、飼い主さんにとって、しかも初めての人はたいへんな勇気がいることなのです。
だって、飼い主さんからすれば、お世話し始めたばかりのあなたを心から信頼しているわけではありません。手に止まってもらおうと差し出したら、あなたにかみつかれるのではないかと身がまえるかもしれません。
また、手に止まったら爪が伸びていて痛いのでは……。手から上に登ってきて、肩や頭に止まるのではないかなど、飼い主さんは不安だらけです。
不安は飼い主さんだけではなく、あなたにもあるでしょう。人の手がこわい鳥がいます。たぶん過去に人の手でこわい体験をしたのかもしれません。
このように初めて手に乗るときは飼い主さんもあなたも緊張すると思います。だからと言ってお互い行動しなければ、仲良くはできませんよ。思い切って手乗りを始めましょう。
飼い主さんがケージの出入り口からいきなり手を差し出してきても、かんではいけません。あなたのケージはテリトリーですから、いくら飼い主さんでも「いきなり手」はこわいですね。
でも、飼い主さんと仲良くするには「手」を好きにならなくてはなりませんが、大丈夫、次第にあなたは飼い主さんの手が大好きになるはずですから。
なぜなら、人の手はあなたの食事や大好物のおやつを運んでくれます。人の手はあなたの頭をカキカキしてうっとり幸せ気分にしてくれます。その人の手に乗れるのですよ。もっともっと飼い主さんとの交流が楽しめます。
それでは始めましょう。
飼い主さんが手を差し伸べてきたとき、あなたの足より手や指の位置が低いときは、はじめの一歩が出しづらいですね。
そう、無理して出さなくてもいいですよ。あなたの足と飼い主さんの手が同じ高さ。この場合ももう少し様子を見ましょう。
そして、あなたの足より、少しだけ飼い主さんの手が高いとき……。
具体的な高さですか? あなたの足の長さを基準に、階段を一段登るくらいの高さです。
お分かりいただけましたか?
この高さだとあなたは足を上げやすいですよね。このとき思い切って飼い主さんの手に乗ってみましょう。
右と左どちらが先? そんな縁を担ぐわけではありませんから、お好きなほうの足をどうぞ。たぶん飼い主さんもあなたの足が片足乗ったら、もう片方の足を乗せやすいように、誘導してくれるでしょう。
どうですか?
やりましたね。飼い主さんもうれしそうな表情をしているでしょう。私たち鳥は、低いところから高いところに登る習性があります。そのため低いところに降りたり、同じ高さに移動したりというのはちょっと苦手だったのです。
でも、これからが大事です。
飼い主さんの手に乗ったはいいですが、おっかなびっくりで手を下げてしまうとたいへんです。あなたは自然と高いほうに登っていきます。つまり飼い主さんの肩へ向かっていくしかありません。
飼い主さんは肩というより、あなたが顔に近づいてきているという恐怖?で、振り落とそうとするかもしれません。もしそうなっても、飼い主さんを恨まないでくださいね。まだ慣れていないのだから。
さて、次に大事なのは手から降りるときです。
こちらも乗るときと同じで、少し高いところへ降りるように促してくれれば降りやすいですね。できれば乗るときも降りるときも、なにか合図があるといいですね。
たとえば乗るときはかっこ良く英語で「ステップアップ」なんてどうですか? 降りるときは「ダウン」なんていかがでしょう?命令されているように思わないでくださいね。命令ではなく合図です。私たち鳥が飼い主さんとコミュニケーションを取るためには重要な「会話」だと思います。
せっかくなので飼い主さんが手乗りに慣れる遊びをしましょう。
まず飼い主さんの右手に乗ったら、自分から足を上げましょう。すると飼い主さんは左手を出してくれるので、そちらに乗り換えます。このとき飼い主さんが「ステップアップ」と元気よく合図してくれるとさらにやる気がでますね。
そしてまた足を出すと、今度は右手に乗せてくれると思います。
これを繰り返すと、飼い主さんの手の高さが限界に来ますので、あなたを手に乗せたまま低い位置に下げてくれると、あたかも階段を登るような気分です。登りきったら低い位置にエレベータで降りてくる。そんな感じですね。私たちも階段登りはしんどいですが、飼い主さんが慣れるまでは一緒に楽しみましょう。