鳥のきもち「家族の一員になるには」

よくある家の中での光景です。

「インコを飼いたいの」と、奥さんがご主人の機嫌がよさそうなときに切り出しました。

「インコ? ふ~ん」

予想通り、ご主人は気のない返事をしました。
そんなご主人の同意を得ずに、インコを家に迎えることは簡単ですが、できれば奥さんはインコを家族として一緒に楽しく暮らしていきたいと奥さんは思っています。

優しい女性ですね。きっと子どもの頃にインコをお世話したことがあるのでしょう。

「私がお世話するから」と、奥さんはご主人にこう言いました。

「どうぞお好きに」

と、拒否されたわけではないので、奥さんは週末にインコのヒナをペットショップから購入してきました。

インコがいる生活が始まりました。

ご主人は、たかが小さなインコが家に来たぐらいで、生活が一変するとは思いもよらなかったようです。

そして、インコをお迎えてからわずか数日後、ご主人はあせりはじめました。

インコがいる生活に、奥さんはとても満足して楽しんでいるからです。
奥さんは毎日、時間があればインコに話しかけています。
ご主人には最近向けてくれない愛らしい笑顔を、インコに振りまいています。

ご主人がインコに嫉妬するのは時間の問題でした。
そんなご主人の視線を感じた奥さんは、ご主人にもインコのかわいさを知ってほしいので、
「どう? 手に乗せてみる?」
と促しました。

しかし、興味がないといった手前かもしれませんが、
「いいよ。別に」
と拒否しました。

人間の男は変なところにプライドがあるので、やりにくいですね。
でも、ご主人はかなりインコに興味がわいているのは間違いありません。
 
では、あなたがこのインコだったらどうしますか?
ご主人とどのように幸せな関係をきずくでしょう?
 
もし、あなたとご主人が二人きりになったら、ご主人をじっと見つめてください。
ご主人はあなたの視線を感じているでしょう。

そして、あなたに関心を持ってもらうために、できるだけかわいい声で鳴いてください。

そうです。大好きな奥さんを呼ぶように。

ほら、ご主人がこっちを向いたでしょう。

これを何回か繰り返すと、きっとご主人があなたのそばに近づいてくるはずです。

来た、来た!?

予想より早くきましたね。
ご主人がケージに近づいてきたら、頭を下げてください。
別にあやまっているわけではありませんが、男というのはその仕草がうれしいのです。

ご主人は、奥さんがあなたの頭をカキカキ(指で優しくかくこと)しているのを見ています。
たぶん、同じようにカキカキするでしょう。

恐る恐る指を出してきますが、あなたも逃げないでね。

ほら!? 始まったでしょう。

「どうだ、きもちいいかい?」
勝ち誇ったようにご主人がこう言うと思います。

ここが大事なので、慣れないカキカキでもガマンしてくださいね。

「もういいかい?」
と言って手を引っ込めたら、またカキカキをしてほしいというメッセージを送るために、かわいく鳴くと、ご主人はまたうれしくなってカキカキを始めると思います。

「そうか、まだかいてほしいか?」
ご主人の顔がにやけてきましたね。

第1ステップは成功です。
 
次はご主人の手に乗ってみましょう。
奥さんにも協力をしていただきます。

いつものように奥さんがケージからあなたを出そうとします。
あなたに関心を持ち始めたご主人はきっとその様子を見ています。
奥さんが、あなたをケージから出した瞬間が勝負です。
 
さぁ、そのままご主人のところに飛んで!
 
たぶんご主人は奥さんのやり方を真似して、手を差し出そうとするでしょう。
止まりやすい場所に手を差し出したら、そのまま止まりましょう。

でも、ご主人にとっては初めての体験なので、変な場所に手を差し出した
ときはご主人の肩に止まりましょう。

頭はダメです。鳥に慣れていないご主人はびっくりして、頭を下げたり、逃げたりするかもしれませんので。
 
ちゃんと止まれましたか?
 
さて、ご主人は手や肩に止まったインコを見て、「そうかそうか」とうれしそうです。

何が「そうか」なのかはわかりませんが、カキカキのときより感激しているのは間違いありません。

ほ~ら!?
うれしさを顔全体で表現しているでしょう。
 
ご主人が鳥の魅力にハマった瞬間です。

こんな調子で家族に理解をしてもらえばいいのですが、この家族のご主人のように単純ではない場合もあります。

そのためには人間がどんな生き物なのかを知る必要があるでしょう。
また、もっと大切なのが私たち鳥の本当のきもちを知ってもらうことです。

お互いのきもちを感じることで、素敵な関係をきずくことができます。

鳥と人とが心をかよわせあい、幸せになってもらうことは、私の心からの願いです。

そのためにも、人と対等な関係で、楽しく鳥として、生きてきた私から、鳥の真実をお伝えしたいと思います。

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