プロローグ「オウムの私が書いた「飼い烏の生き方の教科書」

人と一緒暮らすということ
オウムの私が書いた「飼い烏の生き方の教科書

私は飼い烏のオウムです。
この本は、そんな私が、同じ飼い烏にむけて書いた、言ってみれば「飼い烏の生き方の教科書」になります。

さて、私たち飼い烏は、ひとつの動かしようのない事実と向きあわなければなりません。
それは、飼い烏は飼い主さんを選べないということです。
飼い主さん次第で、私たち飼い烏の幸せは決まります。
飼い主さんがどんな人かで、幸せにも、不幸にもなるのです。

飼い烏のほとんどは、人工繁殖で誕生します。
人工繁殖で実の親もなく、生まれた私たちにとっては、飼い主さんとの関わりがすべてです。
でも、そんなに心配することはありませんよ。
なぜなら飼い主さんは、烏が好きであなたをお迎えしたからです。
もし、飼い主さんが私たちの性格や性質をよく知らないまま、わからないまま迎えてしまった場合でも、お互いのことを理解できるよう、学べばいいのです。人間も、烏も。

この本は、私が経験したことを活かしてもらうために、飼い烏の仲間たちに向けて書いています。
烏であるあなたが読んで、この本に書かれていることを飼い主さんにわかるように伝えていってもいいですし、人間である飼い主さんが読んでもいいでしょう。
大切なのは、お互いのきもちを理解しあうこと。
それは、飼い主さんに対しての、私の切なる願いでもあります。
人が私たちをコンパニオン・アニマルとして迎えようとするとき、その人が「鳥が好き」なのは大前提ですが、同じペットでも犬や猫は選ばずに、私たち鳥を迎えるということは、きっと犬や猫にはないものを、鳥に期待しているのです。

犬は従順、猫は奔放……ステレオタイプのこれらの性質を鳥にあてはめると、
さて、どうなるでしょう。

ひとつ言えるのは、「対等」ということです。
私は長年いろいろな人のところをたらい回しにされてきましたが、人間との関係はつねに対等でした。
私たちは、マンガや映画などで主人公の相棒役として、人の肩に乗っている姿で表現されることがよくありますよね。
体が軽いということもありますが、肩に乗ってしまうのですから、主人に従う犬とも、ちよっとちがう態度です。
肩に乗ると、ちょうど飼い主さんの目線と、私たちの目線が同じ高さになります。これは、飼い主さんにとってのよきパートナーであることをあらわしています。
鳥を迎えたいと思う飼い主さんは、どこかで私たち烏に、よき理解者になってくれることを願っているように思えるのです。

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