鳥のきもち「勘ちがいから『毛引き』をします」

ケージを掃除してもらっているとき、あなたは飼い主さんの表情の変化を、楽しんで見ていませんか?
飼い主さんは私たちの健康チェックのために、ケージの下の敷紙に落ちているものを念入りにチェックし、ウンチやおしっこを見て、一喜一憂しています。
そのとき羽根や羽毛が落ちていると、飼い主さんの反応が大きく変わりませんか?
どこの飼い主さんも羽根や羽毛に反応するんですね。
私たちからすれば羽根、羽毛は抜け替わるものだから別に気にも留めていないのに。
でもね。羽根、羽毛にこんなに反応してくれるのでしたら、使わない手はありません。たとえば自然に抜ける羽根、羽毛が少ないときは、自分で抜いてその数を増やしてあげます。
 ほ~ら、案の定、飼い主さんが反応しましたね。
 ……これが失敗の始まりなんです。
羽根を抜くという行為は、飼い主さんの注目を集めるためのすばらしい方法なんだ! と勘違いしてしまうのです。
私の場合は、飼い主さんに振り向いてもらいたい一心で、毎日羽根、羽毛を抜き続けました。
しばらくすると地肌が見えてきました。そうするとさらに飼い主さんが反応し喜んでくれました。
これで、人と鳥、裸の付き合いができるかもと思ったりしました。
地肌を指差して、喜んでくれる……と思っていました。
今だからわかりますが、実は飼い主さんは喜んでなんかいなくて、驚いたり、悲しんだりしていたのです。
私は人の喜怒哀楽がわからなくて、表情や動作が変わることが喜んでいることなんだと錯覚していたのです。
羽根、羽毛を自分で抜くことを「毛引き」というそうです。
また毛引きが進行し、地肌までかんで出血している場合を「自咬症」と言います。
自咬症でしたら早く動物病院に連れて行ってもらい、自分でかむことができないように処置してもらう必要があります(エリザベスカラーを首に巻くと自分でかめなくなります)。
でも、「毛引き」は病気ではないので、あなたも早く自分の行為に気づいてくださいね。
実は、野生の鳥は、毛引きをしません。
自然界の鳥たちは、つねにどこから襲われるかわからない緊張状態にありますので、毛引きなんかしている余裕はないのです(まるで毛引きをする鳥が暇であるような言い方なってしまい、気にさわったら申し訳ないですが……)。
毛引きをしてしまうのは、性格が少し内向きになっていることが原因とも言われます。
お家の中にばかりいないで、積極的に外(本当の外)に出ましょう。
また、飼い主さんにもできれば演技してほしいです。
もし、羽根や羽毛が落ちていても、勘違いをさせないように、私たちの前ではノーリアクションであってほしいのです。
見えないところで思いっきり驚いてください。
どうかよろしくお願いします。

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